港の仕事と言えば、「きつい」・「汚い」・「危険」の3Kのイメージがある方も多いと思います。
実際に船に乗り込んでラッシング作業をされる船内作業員さん達は「何日も徹夜で仕事をしている」といった方も実際いらっしゃいました。
そんな港の仕事のなかで、空のコンテナや荷物が積んであるコンテナのダメージチェックを主に行う「コンテナチェッカー(バンチェッカー)」という仕事があるのはご存じでしょうか?
今回の記事では
- コンテナチェッカー(バンチェッカー)とは実際どんな仕事をするの?
- 拘束時間はどれくらいなの?
- 本当に「3K」の仕事なの?
といった疑問に応えるべく、数年前まで港で実際にコンテナチェッカーとして働いていた、ものけまるが記事を書いていこうと思います!
コンテナチェッカーとは?どんな仕事?辛いポイントは?
コンテナチェッカーってなに?
まずはコンテナチェッカー(バンチェッカー)とは…といったところですが、その名の通り、コンテナのチェックをする仕事です。
海上輸送コンテナは個人で所有するものではなく、輸出するたびに船会社からレンタルし、返却する必要があるいわばレンタルコンテナです。
店などの駐車場で絵が描かれているものだったり、倉庫として使われているものは中古を買ったものです。
そのコンテナが返却される時に、
- どれくらいのグレードのコンテナかランク分けをする
- ダメージを負って返却されていないか
- ダメージがあった場合、中の荷物とは関係のあるダメージか
- 関係のあるダメージの場合、修理費用は誰がもつのか
などをチェックする作業員の事ですね。
請求を現場のチェッカーが直接する現場もあるようです。かなり忙しそう
コンテナ車牽引ドライバーさん方はよく見てらっしゃるかな?
港からコンテナを出すときも、
- 海外でダメージを負ったコンテナじゃないかダメージチェック
- ダメージがあった場合、リマークをしっかり記入し仮修理をする
- 空バン(空のコンテナ)を搬出する際はダメージがないか再確認
などの作業を行います。
拘束時間は?
続いて拘束時間ですが…これは時期によって異なります。
主に繁忙期はGW周辺と冬です。
輸入先の国は主に中国になると思います。中国の祝日と、日本の祝日の兼ね合いですね。
ものけまるが勤めていた時は
盆前 定時帰宅
年末 月80時間残業
のような感じでした。コロナ禍前になるので現在と状況が同じなのかは不明です。
大体のコンテナチェッカー(バンチェッカー)は月~土まで働きます。
「3K」の仕事なの?実際やってみた感想は?
ものけまるが実際にコンテナチェッカー (バンチェッカー) をやってみた感想で言うと…
昔ほど『3K』が叫ばれる仕事ではないのかな?といった印象でした。
就職して現場に出て3日目で隣のヤードで事故者が出て怖かったのは事実ですが…
「きつい??」
何をもってきついとするかによって違うと思います。土日休みが良いであったり、定時終わりが良いといった方にはきつく感じるかもしれません。
また、仕事の終わり時間が日によって、週によってかなり変動するため、仕事終わりに遊ぶ約束などをする事が難しくなる状況です。
「汚い??」
空でコンテナ返却されたコンテナの中には色々なコンテナがあります。
海外で採れた魚などを運ぶ冷凍コンテナ(魚の氷が溶けて生臭い)だったり、
チョコの原料を運ぶコンテナ(甘い匂い)だったり、
ガスなどの危険物を運ぶコンテナ(危ない匂い、ピリピリ痛い)だったり多岐にわたります。
なかにはゴキブリが10匹くらい蠢いているまま返却されるコンテナもあります。何を運んでいたんだろう?
汚いという意味では汚い方の仕事なのかもしれません。
洗濯は頑固な『油汚れ』と苦戦するときも?
「危険??」
危険な状態はコンテナチェッカー (バンチェッカー) にもあります。
例えば空のコンテナ貸し出しで、あまり借りに来たことがないドライバーさんだとかなり丁寧に説明するようにしていました。
なぜかというと、コンテナチェッカー (バンチェッカー) が空のコンテナに入ったまま搬出されてしまう事故の可能性があるためです。真っ暗のままトラックが動き出す
…いつ止まるか分からない、走行中は外に声も届かない…
また、海外からの荷物を積んだ状態のコンテナで、コンテナの下部のトラックに繋ぐ部分が曲がっていたりすると、その場で溶接器具を使い焼き切ることもあります。
専門の修理業者さんを呼んで作業をするんですが…中に何トンもの荷物が入ったコンテナを吊り上げ、その下に入って作業する訳ですから、危険といえばかなり危険な作業もあります。
ただ、コンテナチェッカー (バンチェッカー) が溶接作業をすることはないので、その時は補助だったり書類の確認が忙しいくらいですかね。
といった印象をものけまるは感じます。
チェッカーとしての姿勢、目指せる仕事
仕事への姿勢ですが、
- 自分がチェックしたコンテナにはダメージは無いと自信をもって言えるようにチェックをする
- たくさんある仕事を1つずつ確実に覚えてこなせるようにし、同期より早く仕事を振ってもらう
といった点を気をつけて仕事していました。
それでもミスは人間なんでしちゃうものですが…
目指せる仕事としては、会社によってだいぶ異なると思います。
ものけまるが勤めていた会社では、人材派遣業が主な仕事としていたので、現場の作業を覚えてから現場管理の管理職へと引っ張られる方もいらっしゃいました。
ちなみにものけまるは港の花形職業、「海務」に一瞬だけ移動しましたが、すぐ現場に戻ってきました(笑
働いている人の割合
これも会社によってかなり違う点はあると思いますが、ものけまるが勤めていた会社&近くの港の同業他社では、女性は働いていませんでした。
年齢は50〜60代男性が多く働いていた会社ではありましたが、ものけまると同い年もいました。
コンテナチェッカーの辛さ
コンテナチェッカー (バンチェッカー) はどんな点が辛い仕事なのでしょうか?ものけまるが働いてみて持った印象は
1 . 仕事が終わる時間が日によって違う
まだ働いていた時は若く、結婚もしていなかったため友人とよく遊びに出かけていました。
が、仕事終わりの時間がいつも不明ということで、疎遠になる友人も何人かはいましたかね。
2 . 夏場の空コンテナ返却(空バン返却)
空コンテナ返却(空バン返却)は、長い時で2〜3時間待機レーンで待ってから港に入港します。
また、コンテナ返却時に中の匂いや汚れを落とすために水洗いしてから返してくれる荷主さんもいらっしゃいます。
そんな水浸しのコンテナが、炎天下の待機レーンに2〜3時間待たされたら…
チェックする時はもうサウナ!
めちゃくちゃ暑いし、暑さで倒れる作業員もいます。
3 . 港内の作業が何よりも優先
港の入り口で作業をするコンテナチェッカー(バンチェッカー)ですが、その作業というのも港内作業に比べると優先順位はかなり低いものとなっております。
船が港に到着してから、ガントリークレーンだったり、港内作業車が動き出すんですが、電気代だけでうん十万うん百万かかると言われています。
よって、返却作業や貸し出し、引き取り作業を一旦ストップして港内作業だけをする時間というのがあります。
さらにこの優先される港内作業というのがいつ始まるのか、いつ終わるのか、何が原因なのかというのはコンテナチェッカー(バンチェッカー)には知らされないこともあり、仕事の終わりが見えないといったことが発生することもあります。
4 . 責任の重い仕事
コンテナチェッカー(バンチェッカー)は名前の通り、空のコンテナ(空バン)も、中に荷物が積載されているコンテナ(荷入りコンテナ)もどちらもチェックします。
海外から運ばれてくるコンテナは状態が悪いモノも多く、荷役がクレーンで移動吊ってコンテナを移動する際に大きな穴をあけてしまう事があります。
空のコンテナなら中に入ってチェックできるからまだいいものの、荷入りコンテナの場合は銀のテープで仮修理をしたり、コンテナの外壁に垂れている錆びた水滴で判断しなければいけない場合もあります。(コンテナの書類にリマーク(壊れている部分のチェック)を入れる)
港でリマークがないものが返却時にダメージを負っていると、荷主に請求の確認だったり連絡して聞かなければいけないことが発生するので、絶対にミスできない仕事も中にはあります。
そういう意味で責任が重い仕事であると言えるでしょう。
どんな仕事もおんなじですねぇ~
5 . 牽引ドライバーとの接触
コンテナを返却だったり貸し出しだったりをする上で、ドライバーと話す機会もあります。
そんななかで、港内作業優先の時間になってしまったら、同じドライバーの前で1時間動かないでいることもあります。
待たされている側からすれば、コイツらが動き悪いから俺が待たされてると考える方もいらっしゃいますよね。
そんなドライバーの相手をしなければいけない時もあります。
怒ってる人も、優しい人もいます。
まとめ
いかがでしたか?
コンテナチェッカーという仕事についてよくわかりましたね。
ものけまるが思うに、3Kの仕事という扱いではあるものの、仕事の内容としてはミスをしないように注意することが多い印象です。
集中力が続く方だったり、力がある方向けの仕事なのかもしれませんが、幅広く色々な方が働いていたので、沢山の人の人生経験談が聞けて良い職場でした。
ということで、今回は以上ですー
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